南新倉は、明の永楽7年(1409年)に建てられた。故宮の歴史よりも10年古い。明、清二代の皇室倉庫の一つで、現在は北京市の文化財となっている。

南新倉は首都の穀物を貯蔵する重要な場所だったので、軍事的建造物の基準に従い建てられた。壁は全部、厚くて青いレンガを積み上げて築かれ、堅牢にできている。通風や水害などを考えて、比較的高い場所に建てられ、地下には排水システムをつくり、壁の下部には風通しの穴も設けられている。壁は厚く、もっとも厚い部分は1.5メートルもあり、一年中一定の温度を保っている。

街としての起こりは約600年前、明代1409年に建てられた食糧倉庫群だった。当時の皇帝が、風水的に「食料を蓄えるのに最高の場所」と言われるこの土地に建てた倉庫には、ネズミが一匹も出なかったと言う逸話も残る。また地下には排水系統を持ち、壁底に通風孔を設置。頑丈に積み上げられた石壁は城壁のような強固さを誇った。当時の建築技術の粋を集めて造られた倉だったのだ。明?清代と増設を重ね、全盛期には約70もの倉が軒を連ねたという。

東城区の南新倉文化レジャー街には、古い穀物倉庫を改造した小劇場がある。週末になると、蘇州崑劇院の役者たちが、崑劇『牡丹亭』を演ずる。わずか60席しかないので、役者の姿や表情がはっきり見え、スピーカーを通さない肉声の美しいセリフや音楽が、観客の心を揺さぶる。

奥に進んでいくと、何かのテーマパークに入り込んだように、古い倉庫群と赤い提灯が出現する。
南新倉文化レジャー街の総延長は1キロ近くある。ここに9棟の古い倉庫と一部の復元された昔の建物がある。街路の両側には、中華や洋食のレストランやバー、コーヒーショップ、画廊、高級クラブ、ジム、エステ、ブランドショップなどが集まり、北京の特色ある新しいレジャースポットとなっている。



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