什刹海、昔は「海子」とも呼ばれていた湖である。湖面の広さは約34万㎡で、西海、後海と前海の３つの湖からなっている。水源は、北京の北東部にある密雲ダムである。現在、什刹海一帯は、昔ながらの街並みが保存されている一方、現代風のバーも数多くお目見えしており、おしゃれな人気スポットの一つとなっている。
 　
800年ほど前の元の時代、什刹海は北京にとって、とても大切な水源だった。当時、什刹海の面積は今よりも広く、「西直門」のあたりまで広がるほどだった。また、南から水路を使って食糧を輸送する場合、什刹海は北側の埠頭としての役を果たしていた。什刹海は北京の｢古海港（古い港）｣とも呼ばれる。その後、什刹海では、食糧のほかに雑貨なども扱われるようになり、その沿岸に賑やかな市場も幾つか作られて、当時、北京経済の発展において、重要な場所だった。
 
明代になると、明の太祖・朱元璋が都を南京に決めたため、北京の什刹海には「食糧輸送の埠頭」という役目がなくなった。その後、1421年に、永楽帝が遷都して、北京は再び首都となった、そのときの什刹海は水位がずいぶん下がり、陸地になってしまった部分もあって、面積もかなり小さくなってしまったようだ。そのころ、水路の幅が狭いところに「徳勝橋」と「銀錠橋」という2つの橋を架けた。2つの橋により、什刹海は西海、後海と前海の3部分に分かれた。
　什刹海は北京市の中心に位置し、「前海」、「後海」、「西海」三つの水域からなります。「海」と称されていますが、実際は巨大な人工湖で、「北海」、「中海」、「南海」からなる「前三海」と区別するため、「後三海」と言われます。

後海の辺りにはヤナギ、エンジュ、ハコヤナギなどが植えられています。湖岸をのんびり歩くと、そよ風がほほをなで、心地よい涼しさを感じます。夏はボート、冬はスケートで遊ぶことができます。

銀錠観山――「燕京（北京）八景」の一つ、銀錠橋から西山を眺める

　さらに東南へ行くと、「銀錠橋」（銀錠は馬蹄形の銀塊）が現れます。銀錠橋は前海と後海の間にあり、アーチ形の石橋が銀錠に似ているため、この名前がつけられました。
    銀錠橋の東側は、市民の暮らしの匂いを感じさせる胡同「煙袋斜街」です。「煙袋斜街」は全長232メートル、清朝末期に主に喫煙具や骨董を経営し、書画を表装しました。現在はユニークな小さな店がたくさんあります。 

    古い烟袋斜街牌坊,伝統的な赤色、 下町の中いろいろ味がある小店。手づくり物が多いです、チャイナドレスも大人気よ。










 

清の時代、什刹海の南側は夏になると蓮の花が一面に咲き、とても美しい景観が広がり、回りには数多くの屋台などが集まってきた。当時、この屋台街は「荷花市場」と呼ばれていた。最近、この「荷花市場」が復元された。またその周りには、いまどきのバーやレストランも軒をつらね、景色も環境もいいので、多くの有名人が什刹海とその周辺に家を構えている。
什刹海という名前の由来については、いろいろ説がある。明の時代にそのほとりに10軒のお寺が建てられ、「１０の寺」つまり「十刹」と呼ばれた。その後、「十刹」の「十」と同じ発音の「什」という漢字に変わったとされる説がある。もうひとつは、「後海」の北西岸にある「什刹海寺」から名前をとったという説である。